「救急蘇生法の指針 2015(市民用)」が改訂され、「救急蘇生法の指針 2020(市民用)」(以下「指針」という。)がとりまとめられました。指針は、 一般財団法人日本救急医療財団ホームページ<外部リンク>で閲覧できます。
主な変更点
全体を通しての基本的考え方
- 『心停止傷病者の救命には市民救助者の行動が不可欠』であり、『強く、速く、絶え間のない胸骨圧迫が最重要』という基本的な方針に変更はありません。
- 救助者が判断に迷うことをできるだけ少なくし、救命処置に遅れが出ないようなわかりやすい内容に改めた。
- 新たな章として「新型コロナウイルス感染症流行期の対応」を追加した。
- 用語として「子ども」という表現は使用しないこととし、原則的に「小児」あるいは「乳児を除く小児」という表現に統一した。
- 用語として「除細動」という表現は使用しないこととし、原則的に「電気ショック」という表現に統一した。
市民による救急蘇生法の主な変更点
- 傷病者に反応がない場合だけでなく、反応の有無の判断に迷う場合にも、119 番通報と AED の要請を行うようにした。
- 「普段どおりの呼吸」がない場合だけでなく、「普段どおりの呼吸」かどうかの判断に迷う場合にも、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生を開始することを明示した。「死戦期呼吸」の用語は手順の図の中では用いないこととした。
- 「普段どおりの呼吸」の有無の判断だけでなく反応の有無の判断について も、通信指令員から助言や指導を受けられることを強調した。
- 救助者が一人の場合、スマートフォンのスピーカー機能などを活用することで両手を自由に使える状態にして、通信指令員の指導のもと胸骨圧迫などをスムーズに行うことを勧めた。
- AED について、従来の「小児用パッド(モード)」を「未就学児用パッド(モード)」に、「成人用パッド」を「小学生~大人用パッド」に名称を変更した。
- 電気ショックが必要な場合に、ショックボタンを押さなくても自動的に電気ショックが行われるオートショック AED に関する記載を追加した。
- 気道異物による窒息で反応はあるが、声が出ない、強い咳ができない傷病者には、まず手技が容易で、害も少ない背部叩打法を試み、背部叩打法で異物が除去できない場合は、次に腹部突き上げ法を行うこととした。
作成:日本救急医療財団心肺蘇生法委員会
救急蘇生法の指針の有効活用について
指針は、学校等の公共施設、商業施設等の幅広い場所で活用していただくことを想定して作成されたものであるため、各箇所における独自の危機管理マニュアル等を作成する際には、必要に応じて本指針を参考にしてください。
留意事項
指針で用いられている文章や図を危機管理マニュアル等に引用する場合には、「救急蘇生法の指針 2020(市民用)より引用」と明記してください。
ただし、指針中、図5または図 42 を転載する場合には、転載許諾申請が必要です。細部は、 一般財団法人日本救急医療財団ホームページ<外部リンク>をご確認ください。