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SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(25)

印刷用ページを表示する更新日:2024年6月1日更新

大相撲の取組で、「水入り」という制度があります。これは、大相撲(十両以上の取組)において、双方の力士が疲労などのために取組の進捗が見られない状態になった時に、行司が審判員の同意により取組を一時中断することです。

行司待ったなし!

 

取組の時間は、概(おおむ)ね3~4分と決まっていますが、必ずしも時間通りではありません。取組の時間が長くなると、力士は疲れて力を出すことができない膠着(こうちゃく)状態となり、勝負がつくのが難しくなります。その場合、審判員の合図で行司が両力士の背中を叩き、取組が中断されます。力士は、土俵を下り短時間の休憩を取ります。この時に力士は、呼出しから差し出された水を口に含みます。水入りの「水」とは休憩中につける力水(※)のとこで、「水入り」のことを「水が入る」ともいいます。他のスポーツも雨天順延となったとき、「水入り」という言葉を使うこともありますが、これは相撲用語からきたものです。

※力水…勝った力士が、その勝ち運を次の力士に授けるために渡す清め水のこと。「力の源(みなもと)」として頑張ってという意味を持つ。

行司は、取組を中断する場合非常に神経を使います。双方の足の位置や組手等を注意深く確認し記憶する必要があります。土俵下の審判員も同じく神経を使う場面です。取組を再開するときは、公正無私の立場で水入り前の体制に戻さなければなりません。戻したと判断し、土俵下の審判員の確認をとったうえで双方の背中を叩き、「はっけよい」の掛け声で再開します。行司の裁量が試されるときでもあります。

再開後も再度「水入り」となる場合もあります。さすがに2回目の水が入るとなると、双方の力士は疲労困ぱいとなります。少し長く休憩を取らせるためにその取組の2番後に行われますが、その時は最初の仕切りからやり直す「取り直し」となり、それでも決着がつかない場合は「引き分け」といった措置が取られます。

私は幼いころから大の相撲ファンで、よくラジオにかじりついていましたが、初代若乃花対出羽錦戦で引き分け相撲があったという記憶がありました。執筆にあたり調べてみると、初代若乃花は生涯4度の引き分け相撲を演じ、そのうち3回はこの出羽錦戦だということです。現在では、四つ相撲が減り、突き押しを基本とするスピード相撲が多くなった結果、「引き分け」はおろか「水入り」の相撲もあまり見なれなくなりました。

ちなみに、幕下以下の取組では、相撲が長引いて「水入り」となった場合、その取組の2番後に最初の仕切りからやり直す「取り直し」となります。また、アマチュア相撲でも、競技開始後概ね5分(中学生以下及び女子の場合は3分)を経過して勝負がつかない場合は、この「取り直し」制度を採用しています。