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SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(23)

印刷用ページを表示する更新日:2024年4月1日更新

大相撲の世界に忘れていけないのが床山(とこやま)です。この床山とは、一般的には力士の髷(まげ)や、役者、人形の髪などを結い上げる職に就く者のことをいいます。

床山

元禄時代を中心に、京都や大阪で発展した上方歌舞伎を完成に導いた、坂田藤十郎の髪を舞台用に結い上げたのが床山の始まりといわれています。

時代を経て全国に広がり、歌舞伎、舞台、映画、テレビ、日本舞踊などに使われ、かつらの専門職となり現代でもその流れが受け継がれています。

大相撲の世界では、力士、行司、呼出しと同様にそれぞれの相撲部屋に所属し、そこでともに寝起きをしながら力士の髪を結う、大相撲と日本の伝統を継承していくうえでもなくてはならない貴重な専門職でもあります。ただ、この床山にも定員制限が定められ、上が空かないことにはなれないことになっています。

皆さまもご存じのとおり、相撲の世界では独特の髪型をしています。普段は、すべての力士は俗にいう「ちょん髷(まげ)」姿をしていますが、十両以上の関取になると、本場所や正式行事では「大銀杏(おおいちょう)」という髪型を結わなければなりません。床山は、所属する部屋のすべての力士の髪を、その時に合わせてちょん髷や大銀杏にと結い分けていきます。

大銀杏は、お相撲さん独特の甘い香りの鬢付(びんつ)け油や、すき櫛(くし)、前搔(まえか)け、揃(そろ)い櫛(くし)、荒櫛(あらくし)、握(にぎ)りはさみ、髷棒(まげぼう)、先縛(せんしば)り、それに束ねた髪を元の部分でとめる細く丈夫な元結(もとゆい)などといった専門の道具等を使い、力士の顔形に合わせて仕上げていきます。結えるようになるまで5年ほどかかるといわれ、ベテランの床山でも大銀杏を結うのに15分~20分を要します。

長く同じ力士の髪を結っていると、自然と力士本人の好みや髪質を覚えていき、信頼関係も生まれてきて、ベテラン力士は、ずっと同じ床山から髷を結ってもらうことが多いとのことでした。また、熟練を重ね、横綱の大銀杏を結える域に達すると、髪を結う手応えで、その日の横綱の調子の良し悪しが分かるようになるそうです。

床山にも下の表のように「特等床山」から「5等床山」までの階級があります。床山の給料は月給制となっており、基本給と各種手当が支給されます。経験年数がものをいい、若い床山にとっては厳しい社会といえます。

床山は、力士の髪を結う以外にも、ちゃんこ番、部屋の掃除、入門間もない若い衆に対する浴衣等の着方等の指導も行っています。

階級
階級 経験年数 給料(月)

特等床山

45年以上で成績優秀 36~40万円

1級床山

30年以上で成績優秀 20~36万円
2等床山 20年以上で成績優秀 10~20万円
3等床山 10年以上で成績優秀 4~10万円
4等床山 5年以上で成績優秀 2.9万~4.2万円
5等床山 5年未満

2~2.9万円

見習い 入門から3年未満 1.4~2万円