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SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(22)

印刷用ページを表示する更新日:2024年3月1日更新

大相撲には呼出(よびだ)しという役職があります。今回はあまり知られていない呼出しをご紹介します。

櫓太鼓

大相撲を観戦するとき、私たちは相撲を取る力士とその勝負を裁く行司だけに注目しがちです。しかし、大相撲は力士や行司だけではなく、そのスタッフに重要な役目を持っている呼出しがいます。呼出しがいなければ大相撲はなりたたないとまでいわれています。

呼出しの代表的な仕事として、力士の「呼び上げ」、「土俵整備」、「太鼓叩き」等があり、それ以外にも、力士や審判員の座布団の交換や世話、懸賞金の管理、所属の相撲部屋の雑用など多くの仕事も担当し、まさに縁の下の力持ち的存在です。

「呼び上げ」は、呼出しの仕事として一番注目をされるものです。「ひがぁ~しぃ~○○山~」「にぃ~しぃ~△△富士~」といった独特な節回しで力士を呼び上げます。白い扇子(せんす)は呼出しのシンボルともなっていますが、呼び上げる際、自分の唾(つばき)が飛び散らないようにとの配慮から使用するようになったといわれています。

土俵作りも重要な仕事です。本場所や巡業場所では毎回新しく土俵を作ります。人生をかける力士のために神経も使う大変な作業です。また、取組の合間の土俵を箒(ほうき)で掃き清めたり、土俵が乾燥すれば水を打つなど常に土俵の管理の全てを任されます。

櫓太鼓(やぐらだいこ)を叩くのも呼出しの仕事です。この太鼓には「触(ふ)れ太鼓」、「寄(よ)せ太鼓」、「跳(は)ね太鼓」があり、それぞれに太鼓の叩き方が異なり意味があります。

「触れ太鼓」は、大相撲興業の初日の前日に市中を練り歩き、太鼓を叩いて「○○山~にぃ、△△富士じゃぞうぇ~」と初日の取組を紹介しながら回ります。大相撲興業が開催されるのを知ってもらうために触れ回る太鼓のことで、昔は、宣伝告知する手段があまりなく、触れ太鼓が一番効果的宣伝告知の方法だったといわれ現在でも引き継がれています。

「寄せ太鼓」は、相撲興業の朝に櫓(やぐら)に上って叩きますが、「今日は大相撲があるよ。見に来てね。」という意味合いがあり、別名「一番太鼓」、「朝太鼓」ともいわれています。昔は、夜明け前から叩いていたそうですが、騒音防止の点からも、現在では朝9時から30分間だけ叩かれるようになりました。

「跳ね太鼓」は、大相撲興業の一日の全取組が終了したことを知らせるための太鼓です。「今日のご観戦ありがとうございました。明日も見に来てね。」という意味合いがあり、観客が帰っていく様を表し、「テンテンバラバラ、テンテンバラバラ」と聞こえるような調子で叩かれます。呼出しさんから聞いた苦労話では、特に冬の季節は櫓の上は非常に寒くて冷たく、太鼓を叩く手がかじかんで堪(たま)らないそうです。

昔の伝統をそのまま引き継ぐ大相撲の櫓太鼓は、今や日本の伝統芸能の一つとして、相撲ファンのみならず、多くの日本人の心を鷲づかみにしています。