9.近現代（明治～昭和時代）

　 廃藩置県で藩から県となった厳原（いずはら）・佐賀・蓮池・小城・鹿島・唐津の6県は、1871（明治4）年11月までに統合され、新たな伊万里県となりました。伊万里に県庁が置かれますが、県西端に位置していたことや役人の多くが現在の佐賀市周辺に居住していたことから不便の声があがり、1872（明治5）年5月に県庁を佐賀に移し、同年佐賀県と改称されました。なお、厳原県は伊万里県に併合された後、同年8月長崎県の所管となりました。
　 しかし、佐賀県は1876（明治9）年4月に三潴県（みづまけん）に併合され順次（旧佐賀県域は）長崎県へ移管されました。同年8月には、三潴県が廃止となったことで旧佐賀県域はすべて長崎県へ併合され、長崎県は肥前、壱岐、対馬の3国21郡にまたがる大きな県となりました。
　　1882（明治15）年、佐賀県を復活させようという運動がおこり、その結果、翌1883（明治16）年5月に長崎県から分離独立し、現在の佐賀県となりました。

・1871年（明治4年）、廃藩置県により、唐津藩は唐津県となりました。この時、現在の玄海町域（有浦村・値賀村など）も唐津県の一部となりました。
・1876年（明治9年）、佐賀県域は長崎県に併合され、一時的に長崎県の一部となります。
・1878年（明治11年）、長崎県において郡区町村編制法が施行され、松浦郡は行政上の便宜から東松浦郡、西松浦郡（以上、佐賀県域）、南松浦郡、北松浦郡（以上、長崎県域）に分割されました。東松浦郡役場は唐津城下に設置されました。
・1883年（明治16年）5月、長崎県から分離独立し、現在の佐賀県が成立しました。
・1889年（明治22年）4月1日、町村制が施行され、現在の玄海町域には有浦村と値賀村が成立しました。
・1923年（大正12年）4月、郡会（連合町村会）が廃止されましたが、東松浦郡役場は存続しました。
・1926年（大正15年）7月1日、郡役所が廃止され、以降は地域区分としての「東松浦郡」という名称のみが残りました。

　 市町村制施行後の両村役場の行政文書は残されておらず、当時の村政の動きについては、はっきりしたことはわかりませんでした。

（1）有浦村（役場：大字諸浦）9村合併
　　小加倉、有浦下、有浦上、長倉、諸浦、新田、轟木、牟形、大串新田
（2）値賀村（役場：大字平尾）8村合併
　　値賀川内、今村、普恩寺、平尾、浜野浦、大薗、石田、仮屋

(1)1889年（明治22年）：「市制・町村制」（明治の大合併）
この合併により、佐賀県内の町村数は大幅に削減されました。
合併前: 10郡・36町・508村など、計590の郡町村が存在しました。
合併後: 1市・8郡・5町・130村の計136市町村に再編されました。
この時、佐賀市が県内初の市として誕生し、唐津、武雄、伊万里、小城、有田の5ヶ所が町として指定されました。

(2)1953年（昭和28年）11月1日：「町村合併促進法」（昭和の大合併）
戦後の高度経済成長期に地方自治の基盤強化を図るため、全国的に大規模な合併が進められました。
法律施行: 「町村合併促進法」が1953年（昭和28年）10月に施行されたことを受け、佐賀県でも合併が加速しました。

(3)合併の完了: 1957年（昭和32年）12月までに合併がほぼ完了し、県内の市町村数は大幅に減少しました。

(4)合併後（1957年12月時点）: 7市・37町・5村の計49市町村となりました。

当初、県の計画では東松浦半島（上場）の町村を2分割する合併案が検討されていました。

案1: 湊村、呼子町、打上村、名護屋村の4町村
案2: 値賀村、有浦村、入野村、切木村の4村

しかし、この計画は以下の理由で変更されました。
湊村は、隣接する唐津市への編入を希望しました。
呼子町は、他の3町村との合併に応じず、単独町制を維持しました。
打上村と名護屋村は合併し、鎮西町となりました。
入野村は後に単独で町制施行し肥前町（現在の唐津市の一部）となりました。
こうした経緯を経て、最終的に以下の合併が実現しました。
値賀村と有浦村が合併し、玄海町が誕生しました（1956年（昭和31年）9月30日）。
また翌年の1957年（昭和32年）12月31日には、旧切木村の一部（湯野尾・座川内・藤平・田代地区）を玄海町に編入しました。
切木村は、他の地域が唐津市と肥前町（入野村）に分割編入された結果、廃村となりました。