ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織でさがす > 教育委員会 > SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(28)

SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(28)

印刷用ページを表示する更新日:2024年9月3日更新

十両と呼ばれる関取以上になると「化粧廻し」を身に着けて土俵に入ります。

汗と涙がしみ込み、砂にまみれた稽古廻しを「陰」とするならば、この化粧廻しは「光」といえるでしょう。今回は、その「化粧廻し」について紹介します。

神事であるがゆえに、相撲にはいくつもの儀式や所作が存在しますが、この化粧廻しもその一つです。長さ約8m、幅68cmの長い博多織の布の先端に、豪華な刺繍(ししゅう)と馬簾(ばれん)(※)が付いた大きな前だれのようなものが化粧廻しです。

※馬簾…纏(まとい)など周囲に房のように垂れ上げた紐状の飾りのこと。

晴れの十両昇進や新入幕、新三役、横関昇進、横綱昇進といった節目に、後援者やタニマチ(※)、出身母校からプレゼントされることがほとんどで、自腹で購入したという話は聞いたことがありません。

※タニマチ…相撲界の隠語で、贔屓(ひいき)してくれている客、後援してくれる人、無償のスポンサーのこと。

びっくりするのがこの化粧廻しの価格です。土俵入りという儀式の中で、いかに豪華な化粧廻しを着けるかが粋(いき)という時代もありました。一般的な価格で、約百万円といわれていますが、立派なものとなるとダイヤモンドを散りばめたものもあり、数千万円や中には億に届く価格の化粧廻しもあったといわれています。

近年では、豪華なものよりもより目立つインパクトのあるものが多くなり、熊本県出身の佐田の海は、熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」をあしらえた化粧廻しで土俵入りをしています。このように土俵入りで注目を集めることから、企業や各種団体が力士に対し化粧廻しを贈るケースが増えています。

数年前から九州場所で唐津市浜玉町に宿舎を構えている「鳴門部屋」に、昨年、待望の新十両「欧勝馬(おうしょうま)」が誕生しました。部屋創設以来初めての関取となります。

鳴門部屋九州後援会(会長腹巻会長)と唐津市及び玄海町が共同で、唐津曳山の「赤獅子」が刺繍された立派な化粧廻しをプレゼントしました。欧勝馬関は、昨年の九州場所で15日間その化粧廻しを着けて土俵入りを行い、そのかいあってか13勝2敗の好成績を上げ、見事に十両優勝を成し遂げました。

その縁があって、昨年の国スポ1年前イベント「鳴門部屋交流会」では、欧勝馬関も掛け付けてくれまして、化粧廻し姿を披露してくれました。ちなみに、千秋楽の三段目の取組が終わった後、土俵では新所出世披露(しんじょしゅっせひろう)が行われます。前相撲を終え、翌場所から晴れて番付に載ることになった新弟子達を紹介する儀式ですが、部屋の兄弟子や親方から借りた化粧廻しで土俵に上がりこれに臨みます。いつかは自分の化粧廻しでと決意を固める儀式となります。

化粧廻し