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SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(21)

印刷用ページを表示する更新日:2024年2月1日更新

行司は、大相撲にはなくてはならない存在です。力士同士が激しくぶつかり合う土俵上は力士だけではありません。その勝負を裁く行司も「土俵に上がれば神になれ。」という信念のもとに、自身の命をかけて戦いに挑むといえます。

相撲は、約7割~8割は立合いで決まるといわれ、力士はその一瞬に集中します。行司も全神経を集中し、三者の呼吸が一つになるように努めます。行司の裁量が問われる瞬間でもあります。

行司は、昔(室町時代)の武士の装束である直垂(ひたたれ)と烏帽子(えぼし)を身にまとい、軍配(ぐんばい)を携えて土俵に上がります。この軍配は、もともと、戦国時代の戦(いくさ)のときに自分の兵を指揮する道具として使われ、「敵陣に進め」「配置につけ」等と指示する大将の持ち物でした。それが相撲にも取り入れられ、上覧相撲(※)で行司が軍配を持ったのが始まりといわれています。行司は、勝負が決まったら、どちらの力士が勝ったかを示すためにこの軍配を上げることになります。                            ※上覧相撲とは、武士の戦闘訓練として戦国武将が開催する相撲のこと。

行司装束(直垂と烏帽子)

 

この軍配には、瓢箪型(ひょうたんがた)と卵型の2種類があり、自分専用の軍配を持つ行司もいますが、立行司など位が高くなってくると、引退された先輩から代々譲り受けられる軍配(譲り団扇(ゆずりうちわ))を使用している場合もあります。軍配には、「天下泰平」や「公正無私」、「初心不忘」などの四字熟語が多く書かれており、これは行司としての心構え等を記したものです。

行司の掛け声の中でも最も代表的なのが「はっけよい、残った、残った」でしょう。「はっけよい」は、立合いの時や力士が動かなくなった場合、両力士に気合を入れるための掛け声で、「残った、残った」は、力士が技を掛けながら動いている時に、「まだまだ勝負はついていないよ、頑張って!」という意味になります。

気になるのが行司の給料ですね。先月号にも記述したように、行司にも階級があり、その階級によって給料が異なります。給料には「本給」「装束補助費」「その他の手当て」が含まれ、初任給は14万円程度になるそうです。一般のサラリーマンに比べて低いと思われるかもしれませんが、食費と住居費は相撲部屋持ちですので、生活費はかからないことを考えると十分な給料といえるかもしれません。また、最高位の立行司になると、年収で約1,500万円になるといわれています。

誰しも早く出世したいと思うのは世の常ですが、行司にも定員(45名)があり、差し違え(※)等も少なく、素行等にも特に問題がない場合はほぼ年功序列で昇格します。従って、定年退職(定年は65歳)等で上が空かないことには昇格できません。昔の話に、先輩行司が亡くなったときは、ひそかに赤飯を炊いて喜んだというエピソードが残っているほど厳しい社会といえます。               

※差し違えとは、行司が誤って負けた力士に軍配を上げること。