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SAGA2024国スポ・全障スポ 相撲豆知識(11)

印刷用ページを表示する更新日:2023年4月1日更新

今回は、相撲の所作についてご紹介します。

最初は「塵手水(ちりちょうず)」です。両手を下に開き、目の前で円を描き柏手(かしわで)を打って両手を左右に大きく広げ、手のひらを上下に返す所作のことです。この所作にはそれぞれ意味があり、まず野草の朝露を手に取って手を清め、柏手を打って神様に誓い、「私は何も武器を持ちません。あなたと正々堂々と戦います。」という意味をこめたものです。

塵手水

次に「四股(しこ)」です。両足を開いて、足をかわるがわる高くあげ力を込めて土俵を踏みしめる所作のことです。もともと土俵の穢(けが)れや邪気(じゃき)を取り払うために取り入れられたものですが、力士にとって大変重要なものとなります。まず、片足を高くあげることは、バランス感覚の養成と足腰の筋力増強に役立ち、ぐっと腰を下ろすのは股関節の柔軟性を養います。柔軟性が増せば怪我が少なくなるという利点から、他のスポーツでもぜひ取り入れていただきたい準備運動の一つです。

四股

次に「蹲踞(そんきょ)」です。誰しも勝負に向かう場合、過度の緊張と勝ちたいという強い心から興奮しすぎて頭の中が真っ白になる場合があり、その状態で相撲を取るといい相撲は取れなくなります。そこで、平常心に戻って相撲を取るために、下の写真のようにいったん腰を下ろし精神統一を図ります。この所作のことを蹲踞といいます。

蹲踞

さていよいよ「立合(たちあ)」です。立合いは非常に重要なもので、勝負の7割から8割はこの立合いで決まるとまでいわれています。仕切り線の手前に両手をついて、行司の「発揮揚揚(はっきよい)」という掛け声で立ち合うのが基本です。この場合、行司が掛け声をかけるタイミングと両力士の立とうとするタイミング、つまり三者が一体となる「阿吽(あうん)の呼吸」が必要となります。なかなかタイミングが合わずに「待った」がかかる場合も多く、特に外国人にとっては「阿吽の呼吸」といってもすぐには理解できるものではないような気がします。

※「阿吽の呼吸」とは、2人以上の人の息の合った行動をしている様子を表す慣用句。

立合いは勝敗に大きな影響があり、力士たちはいい立合いをすることに全神経を集中します。小さな大横綱といわれた横綱千代の富士は、素早くまわしを取るスピードあふれる立合いが身上でした。舞の海は体が小さいハンディを「八艘飛(はっそうと)び」や「猫だまし」といった変化や奇襲で補いました。昭和の大横綱双葉山は、横綱相撲といわれる堂々と受けて立つ立合いでした。このように、力士たちは自分に合った立合いを模索し完成させていくのです。